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人権連載

平成14年度「差別をなくす啓発作文」の優秀作品のなかから紹介します。
この作文を書いた田中宏樹さんは病気のため昨年6月に亡くなりました。
心からご冥福をお祈りいたします。

「ぼくの友達」九度山町立九度山小学校 5年 田中宏樹さん

ぼくは、生まれた時からずうっと病気で、入退院をくり返しています。いっぱい学校も休むけど、一度も学校へ行くのがいやだと思ったことがありません。それは学校のみんながやさしくて、親切にしてくれるからです。学校を休んでいる時は、連らくノートを書いてくれる友達、そのノートやプリントをとどけてくれる友達。学校へ行く時は、ぼくのカバンを教室まで持って行ってくれる友達。給食当番の時、重たい物を持ってくれる友達。休んでいる時のノートを見せてくれる友達。いっぱいやさしい友達がいます。テレビや新聞では、友達にいじめられて、自殺した子どものことがニュースで伝わっています。その子の回りには、ぼくみたいにやさしい友達はいなかったのかなぁー。たった一つしかない命なのにとてもかなしくて残念だと思います。
ぼくは、長く飲んでいる薬のせいで身長があまりのびなくって、すごく小さいです。でもそのことで、学校ではいやな思いをしたことがありません。それは、みんながぼくのことをすごくわかってくれているからです。しらない人は、そのことを聞くとたいていの人は「かわいそうやな。えらいなぁ。」と言います。でもぼくは、その言葉はあまり好きではありません。みんな生きるためにがんばっているのです。病気になったことはしょうがないけれど、ぼくは決してかわいそうでもえらくもありません。ぼくは生きるために病気と戦っているけれど、みんなそれぞれ生きるためにがんばっていると思う。それをしっていてくれている友達は一言もそんなことは言わず、ぼくを応えんしてくれています。すごくうれしいです。相手の立場になって考える。されていやなことはしない。言われていやなことは言わない。いじめられていやならば、いじめない。やさしくされてうれしかったらやさしくする。自分の命が大切だったらみんなの命も大切。ぼくもこんなにすばらしい友達の中の一人として役にたてたらいいなあと思います。





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