県民の友ホームページ
和歌山県情報館トップページへ

県民の友トップページへ

県民の友今月号の目次へ


座談会
NPO元年!
行政☆NPOの協働で、
人・まち・生き生き


和歌山県NPOサポートセンター(和歌山ビッグ愛6階)を会場に、木村知事と県内で活発にNPO活動をしている方々との座談会が実現しました。
「NPO元年」のこと、NPO活動の現状・課題・役割・将来のことなど、メンバーの口から次々に飛び出した熱い思いをご紹介します。NPO活動がもっともっと盛んになることを願いながら・・・(本文中敬称略)

『NPO元年』について

知事
私は、今年を「NPO元年」にしようと言ってるんです。これまで地方行政は国からお金(補助金など)が来て、それを分配するという形だった。でも、地方は自立していきましょうという時に、それではダメなんですね。自立のための一つの方策として、NPOとの連携や協働が必要であると私は考えています。「これは行政の仕事」「これは行政でない」というのではなくて、行政とNPOが対等なパートナーとして協働していく。自然発生的な住民の取り組みを行政がサポートする。それがないと、地域の発展はないと思います。


地域の中で解決しなければならない課題とか、こうなればもっと暮らしが良くなるのにという事がいっぱいあります。NPO・行政・企業が連携して、持っている力をうまく発揮しながら解決していくというのがこれからの時代。そういう意味で、私たちNPOも頑張り時だなぁと、つくづく感じます。

知事
行政がNPOと協働して、こうしたら一番良いというやり方で問題の解決に当たれば、効率的な行政運営にもつながります。
多くの人はNPOのことを、まだまだ十分に理解していません。「一部の新しいもん好きの人がやってるもの」と思ってる場合もあるようです。県内には、例えば地元の農産物を利用した特産品開発を40年間もやってきた女性グループがいる。自分たちがNPOだと意識せずにです。もともとNPOは都市部のイメージが強いのですが、このように県内各地にも大きな花を咲かせる可能性を持つタネはたくさんあるんです。

▲このページのトップに戻る





志場 久起さん
わかやまNPOセンター(和歌山市)
NPOのネットワークづくりや人材育成、行政・企業とNPOとの連携などNPO活動全般を支援。

連携・協働の現状について

志場
県から14〜15年度に、NPOへの理解を広げるための講座開催事業の委託を受けました。NPOのネットワークを活かして私たちならではの、ひと味違う面白い講座にしようと頑張りました。


NPOは、ネットワークやアイデアで勝負しているんですよね。

知事
県の16年度予算には、NPOとの協働により進める新規事業を盛り込みました。障害のある方の就業促進のため専門的なアドバイスができる「ジョブコーチ」を育成・派遣したり、自宅に引きこもっている状態が続く人のための相談窓口の設置等の支援をします。もちろん、NPOからふるさとづくりに関する提案を募って、選定した事業をそのNPOに委託する事業も継続して実施します。
それから、この夏には高野・熊野の世界遺産登録が待たれています。これをきっかけに、特に観光面などで、NPOが全国的ネットワークを活かして大いに活躍してほしいですね。

小松
NPOと行政とは、これまで補助金を間にして「依存と指導」の関係であった。本来は「自主と尊敬」の関係であるべきだと思います。たしかに、県や市町村から、ちょっと助成してもらうと活動しやすいのですが、「これはしないでこうしてください。年度内に必ず事業を完了してください」と言われると、手弁当で楽しみでやってきた活動が、だんだん義務になってきて、そのうち疲れて「来年はやめとこ」となってしまう。ですから、あまり枠にはめないで、高額でなくてもいいから継続的に使えるようにしてほしいと思います。


行政とNPOの協働の中で、大きな成果を出している取り組みの一つに、子育て支援の拠点として、私たちが和歌山市から運営委託されている「キッズステーション」があります。ここでは、財源は行政が負担していますが、運営はすべてNPOのメンバーなので、利用する母親や乳幼児の子どもたちがとても親しみやすいんですね。自分たちの気持ちに添った対応をしてもらえると、とても好評なんですよ。もっと、こうした事例を広げていきたい。
それから、行政の予算を伴わない協働もあると思うんです。たとえば、NPOに活動の場を提供してくれるというのもありますし、私たちがやっている電話相談の存在を子どもたちに知ってもらうために、学校を通じてその案内カードを配布してもらうなど、いろいろあるのではないでしょうか。
NPOと行政の協働は、どんな事業にせよ新しい試みになります。これまでの補助金や委託のしくみを当てはめるのではなくて、事業が進めやすく、それぞれの特性を十分に生かせる新しい協働のシステムをつくっていくことが必要です。それが5年先、10年先、住民が主体的に地域づくりに参加することにつながると思う。

知事
役所の予算の大きな部分は人件費なんです。だから、日頃から職員には思いっきり働けと言ってます。行政をするのは公務員だけという考え方を変えることが必要です。公的な仕事を行う主体には、行政もあれば、民間企業も個人もあるわけで、いっしょに協働していくという意識を役所も持たなければなりません。行政の意識改革も「NPO元年」のもう一つの柱と考えています。
▲このページのトップに戻る



向口 睦美さん
Slow Wave[スローウェーブ](橋本市)
まちづくり、女性の自立、文化活動の推進をテーマに講座やコンサート等を実施。


小松 勇二郎さん
漂探古道[ひょうたんこどう](中辺路町)
古道案内(語り部)のほか、古道のゴミ収集や草刈り、標識整備などのボランティア活動を実施。


島 久美子さん
NPO法人 子ども劇場和歌山県センター(和歌山市)
子どもの体験活動や子ども電話相談、子育て支援等の事業を展開。

NPOの“非営利”について

小松
人々の間に、NPO=非営利=ボランティアというのがこびりついています。NPOは利益を上げてもいいんだということをもっとPRする必要がある。利益を出資者に配分するようなことはダメだけれど、適正な日当や給料を払い、次の活動に注ぐのはOKなんですね。NPOといえば「タダ働き」というイメージがあると参加者も少なくなると思います。

向口
福祉はこれまで家内労働で、特に女性の仕事とされていました。それが社会化して、介護支援や子育て支援のNPOが出てきているわけですが、昔は無償であったために、どうしても安価又は無償になる傾向がある。でも、行政やサービスを受ける側の人にもこうした労働をきちっと評価してほしいし、NPOの側も、安く評価しないで自信と責任を持って活動する必要があると思います。

知事
和歌山県では、代理で買い物に行くなど福祉分野のお手伝いというのも、ちゃんとした仕事になる。高齢者に、喜んでお金を使ってもらえるようなサービスを考えることが大事です。


そうすれば地域の中に生きたお金が回って、みんなが持ってるエネルギーが表に出てくるというイメージが湧(わ)きますね。

志場
私がNPOセンターから給料をもらってると言ったらビックリされたことがあります。和歌山ではまだ、NPOが事務局職員の人件費を払っているところは少ないようです。NPOだからお金を稼いではいけないというのは間違いで、NPOはお金を稼いでもいいんだとアピールしていけば、じゃあ、ウチもNPOとして財政をきちっと考えて活動を発展させようという流れが出てくるのではないでしょうか。

知事
料金を取っている部分だけをとらえてNPOじゃないという発想は、変えていかなければ発展性がない。気持ちとして、奉仕が3割、あとの7割は仕事というのでなければ、NPO活動は続かないと思います。たとえば、地域の高齢者グループが団子を作って店へ出荷する。何に値打ちがあるかというと、商品が売れて、小遣いが入ってくるのがやりがいとなって、その人が生き生きするということなんですね。
▲このページのトップに戻る

今後の抱負について

向口
NPOは自助自立が原則だと思う。いつまでも行政の財源に頼っていたのでは未来がないと思います。これまで女性が経済活動の分野で社会参画をするには企業に勤めるか、自営業を営むしかありませんでした。でも今は、NPOという敷居の低い活動をもっともっと活用していくべきだと思います。私たちSlow Wave(スローウェーブ)も、地元住民と新住民が交流しながら活動の輪を広げていきたいですね。

志場
今日は皆さんの話で勇気づけられました。これまで日本では、どうしても行政の敷居が高くて、住民は何をするにもお伺いをたてなければという意識があったように思う。役所の人にも私たちといっしょに住民の目で地域の課題を見てほしいし、対等の立場で意見のやり取りができる関係にしていきたい。そして、県の「NPO元年」施策とも連携しながら、攻めの姿勢でNPOの裾(すそ)野を広げたいと思います。

小松
中辺路語り部の会は、「漂探古道(ひょうたんこどう)」という名前がうけて、全国的にも知られるようになりました。紀伊半島の幅で地球儀を一周してみてください。暑くもなく寒くもなく、世界の主要な都市のほどんどがその周辺にある。ですが、陸地の大部分が砂漠か高山であることからすれば、和歌山の人は一番暮らしやすいところに住んでいるんです。こんなに見渡す限り緑豊かできれいな水に恵まれているところは少ないんです。そのことを多くの人に伝えたい。


今日の座談会で、NPO活動が地域を変える可能性と役割を持っているということを確信することができました。子ども劇場としては、“子育ての社会化”をテーマに活動を広げていきたい。子どもをめぐる事件が後を絶ちませんが、これは事件を起こした大人自身の子ども時代にも深い問題があると思うんです。その意味でも、立場や年代を超えてみんなが“子育て”を大事にする、そんな社会をつくっていきたいと思います。

知事
心の豊かさを増やしていくのがNPOの役割だと思います。ぜひ、いろんな形で協働していきたいですね。


NPOとは?!
NPOは、英語のNonprofit Organizationの略で、日本語では「民間非営利団体」と表現されています。
その名の通り、営利(利益)追求を目的とせず、自主的・自発的に社会貢献活動を継続して行う民間の団体です。非営利ですが無償というわけではなく、本来の活動等により得た収入で経費をまかないます。
ボランティア団体
(グループ)
NPO
さらに、会則を定めたり、役員会を置くなど組織としての形が整い、たとえメンバーが入れ替わっても継続的に活動できるようになる。いわゆるNPO法に登記すれば法人化することができる。
活動が定例化して、会の名前を付けたり、メンバーの名簿をつくるなど団体として活動を行う。
ボランティア
個人(有志)が、公園の清掃など社会貢献活動を善意で行う。




わかやまNPO広場ホームページ
・NPOの基礎知識
・講座やイベントなどのお知らせ
・ボランティアの募集
・県NPOサポートセンターの利用案内
 など
http://www.wakayama-npo.jp/

問い合わせ 和歌山県NPOサポートセンター 電話073-435-5424

▲このページのトップに戻る
▼5月号目次に戻る