熊野本宮大社は、1889年の洪水にあうまで、熊野川と音無川、岩田川が合流する中州にありました。
こんもりとした神秘的な森に覆われた大斎原は往時の姿をしのばせます。南側に熊野川、北側に音無川が流れ、中世、参拝者は川で心身を浄めてから参拝しました。
本宮大社から国道を渡ると田畑の中に高さ34メートルの鳥居が巨大な姿を見せています。この大鳥居は1999年に建てられたもので、近世以前は東西に朱塗りの鳥居が建てられていました。
大鳥居をくぐり深遠な雰囲気の漂う杉木立を抜けると、東西に長い切り石積みの立派な基壇があります。
この大斎原と呼ばれる旧社地には、熊野十二所権現の神殿五棟を中心に社殿や堂塔が建ち並んでいました。都からはるか260?の旅路の果て、社殿を初めて拝むことができた感動は、いかばかりであったでしょう。
本殿の跡地に石の祠が2基建てられています。この祠には、熊野十二所権現のうち、第五神から八神と、第九神から十二神を祀っています。
熊野の神々は、この大斎原にそびえるイチイの木に降臨したとも伝えられています。