熊野三山の霊域の入り口、滝尻王子。 ここ滝尻王子は、これからいよいよ神々の住む神域に入るという重要なところです。滝尻王子の裏山いったいには八百万の神々がまつられていました。そばを流れる富田川は、昔は岩田川と呼ばれていました。
ここでみそぎを終えると、この滝尻王子に参拝して、神道、仏教の宗教儀式ののち、神楽や、相撲、歌会などが行われました。特に、後鳥羽院が主催した歌会のおりに、藤原定家など当時を代表する歌人が詠んだ和歌が今日まで伝来しており、熊野懐紙として広く知られています。
本宮、新宮、そして那智まで約100キロに及ぶ行程の始まりです。
滝尻王子の向かいには、熊野古道を中心とした中辺路の歴史紹介と観光案内を兼ねた休憩施設、熊野古道館があります。
町内の12の王子社にちなんだ12角形の建物が目印です。
滝尻王子から急な山道を300メートル上ったところには胎内くぐりと乳岩があります。
陸奥の藤原秀衡夫婦が熊野詣の途中、婦人がこの地で産気づき、男の子を産みました。生まれたばかりの子をつれて熊野詣をするわけにも行かず、やむなく岩屋に子供をあずけ、参拝をすませて帰ってくると、子供はオオカミに守られ元気にしていたと伝えられています。